乳腺エコー検査
- Breast echo examination -
日本では自治体が乳がんの検診としてマンモグラフィを採用しているため、乳腺の検査はマンモグラフィだけで行われるものというイメージを持っている方が多くなっています。マンモグラフィは乳がんの早期発見に重要な役割を果たしている検査ですが、乳腺外科医は超音波検査による情報も重視した診療を行っています。 マンモグラフィも超音波による乳腺エコー検査も共に得意不得意があり、メリットとデメリットがあります。 たとえばマンモグラフィは乳がんで現れることがある石灰化を発見するのは得意ですが、超音波検査はしこりの評価という点に関してはマンモグラフィよりも優れています。しこりの形状、浸潤や乳管拡張といった周囲組織との関係、しこり内の状態の評価には超音波検査が適しています。また、超音波検査には痛みや被ばくといった体への負担がないため、妊娠中や授乳中の方を含め、幅広い方が検査を受けられます。 最近では乳腺エコー検査の機器も進歩してきており、しこりの良性/悪性の判断をサポートする機能なども搭載され、さらに精度の高い検査が可能になっています。
パルスドプラ(微細な血流を表示)
がん細胞は増殖するために大量の酸素や栄養素を必要とします。そのため、周囲の血管を集める性質を持っていることがよくあります。この機能を用いて微細な血流を表示することで、毛細血管が集まった疑わしい部分をスピーディに見つけることができます。
エラストグラフィ(組織の硬さを映像化)
悪性腫瘍は良性腫瘍に比較すると硬い傾向があります。また内部の硬度にも偏りがあまりないケースが多いので、硬さを知ることは診断に役立ちます。
がんは、放置していると次第にサイズが大きくなって治療が難しくなっていきます。乳房のしこりが良性腫瘍であっても、当院では数ヶ月後に再検査を受けていただくことをおすすめしています。超音波検査は被ばくの心配がありませんし、圧迫による痛みもないためお身体への負担が少ない検査です。妊娠中や授乳中の方も受けられるほど安全性の高い検査です。またマンモグラフィ検査と違い乳房を圧迫しないため、シリコンバッグを挿入している方もバッグが破裂するリスクがなく安心して検査が受けられます。 石灰化などを調べる精度はマンモグラフィの方が優れていますが、超音波検査でも明らかな石灰化の異常は確認することができます。 当院では、女性の乳腺認定技師による超音波検査を行っています。マンモグラフィにどうしても不安がある方もお気軽にご相談ください。